すが教(きょう)公式ブログ

博士(工学)。兵庫県尼崎市。武庫東小学校、武庫東中学校、尼崎北高校、関西大学、大阪大学大学院、豪州のシドニー大学に留学。国連英検B級。教員免許(中一種・高一種理科)。専門は量子化学・反応速度論。特許事務所、受験産業。応急手当普及員。

情プラ法の要点と実効性

情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)が本日(令和7年4月1日)から施行されます。

 

これまでにもSNSなどにおいて、不当な投稿・危険な投稿は「名誉棄損」、「威力業務妨害罪」、「著作権法違反」などで取り締まることができました。

 

既存の法律と、情プラ法の大きな違いは、プラットフォーム事業者に対し、

「削除申出窓口等の整備・公表」

「削除基準の策定・公表」

が義務付けられた点です。

 

【メリット】

メリットとしては、次のような点が考えられます。

(1)速やかな対処(7日以内)が義務付けられたので、投稿による悪影響をこれまでに比べて小さくできる

(2)削除基準が公表されることによって、NGワードなどが利用者に伝わり、利用者が利用しやすくなる

(3)明らかに酷い投稿に対し、プラットフォーム事業者が「対処しない」という選択肢がなくなった

 

【デメリット】

デメリットとしては、次のような点が考えられます。

(1)プラットフォーム事業者による判断結果が、独善的なものにならないのか、という懸念がある(表現の自由が侵害される懸念)

(2)不当な「削除の申出」が集団によって行われた場合や、プラットフォーム事業者が忖度する組織から「削除の申出」があった場合、削除が不当な場合でも削除されてしまう懸念がある(表現の自由が侵害される懸念)

(3)たとえばLineなどのように、閉じた空間での言論に対しても、プラットフォーム事業者による削除が実行されるならば、「通信内容の秘匿性」に違反することが懸念される

 

【実効性】

X(旧ツイッター)などのソーシャル・メディア(SNS)では、広告料を支払えば目立たせてもらえます。言い換えれば、技術的には、「どの投稿を目立たせて、どの投稿を目立たせないか」ということは、プラットフォーム事業者が操作できるわけです。

つまり、

・どのアカウントを目立たせるか、あるいは目立たせない(シャドウ・バンする)か

・どのワードを含む投稿を目立たせるか、あるいは目立たせないか

ということは、プラットフォーム事業者が操作できます。技術的にできて当然です。

 

これに対し、それらのこと、つまり利用者のアカウントごとに軽重(バイアス)がかけられたり、公表されないNGワードが存在したりすることを、利用者側が暴くことは、相当に難しいでしょう。これは、過去においてもそうでしたし、今後もそれらの不透明性は変わりません。

 

【まとめ】

今日から施行される「情プラ法」が、どの程度の実効性を持つのかを考えてみれば、

(1)明らかな誹謗中傷などの投稿は速やかに削除される可能性が上がる

(2)シャドウ・バンなどのバイアスが掛けられてしまう可能性は、これまでにもあったし、今後も可能性としては、存在し続けるだろう

ということが言えるでしょう。

 

【筆者】

すが教(須賀きょう):博士(工学)。専門は量子化学。2010年(39歳)頃から政治に興味を持ち始める。