前回、「侵略かどうか」は国連の安保理が判断する、ということを述べました。
では、
「もし仮に中国が台湾を侵攻したらそれは『侵略』になるのか」
を考えてみましょう。
一般的な感覚として、台湾には
・領域(領土、領空、領海)があり、
・国民が居て、
・国家の主権が存在する(独自の政府が存在する)
ので独立国です。
『侵略』の定義によれば、「他国の領土に対する侵入・攻撃」は侵略に該当するので、
「中国による台湾侵攻は侵略である」
と言えそうです。
しかし「独立国であるかどうか」は客観的に自動的に決まるものではなく、
「他国に『国家』として承認してもらうこと」
で独立国としての地位が確立されていきます。
Wikipediaの「中華民国」の項によれば、現在、台湾を(中華民国として)国家承認している国は11ヶ国あるようです。
台湾は1971年に国連から脱退していますし、日本は1972年に台湾と国交を断絶していますから、国連や日本政府から見れば、公式には台湾は「独立国ではなく地域」ということになっています。
中国共産党は、「台湾は中国の一部」との姿勢をとっていることから、もしもこれが世界の国々に認められてしまうと、中国共産党による台湾侵攻を「侵略である」と言えなくなってしまいます。(単なる国内の鎮圧行為ということになってしまう。)
中国共産党は、「台湾は中国の一部」と世界に認めさせるために、様々な国に圧力をかけて、台湾との国交を断絶させようと画策しています。
一方で、「台湾は中国の一部」と言っているのは中国共産党だけであって、これが国際的に認められたことを示す資料は存在しません。かろうじて『中国は1つ』という曖昧な表現を日本やアメリカを含むいくつかの国が認めている、という程度に留まっています。
台湾の安全を保障し、中国による台湾侵攻を阻止するためには、
(1)台湾を国家承認してくれる国々を増やす
(2)台湾を国連加盟国にする、
(3)台湾を「国連オブザーバー」(準加盟国のようなもの)にする
ことが重要になってきます。
上記(1)と(2)を両方実現できれば理想的ですが、中国が国連で拒否権を持つ国なので、(2)の実現は難しいでしょう。しかし「国連加盟」というのは必ずしも必要不可欠な要素ではありません。
例えば、バチカン市国などは国連加盟国ではなく、それに準じる「国連オブザーバー」ですし、スイスなども2002年まで、国連加盟国ではありませんでしたが、それ以前から世界的に国家として承認されてきました。
まずは日本から、台湾との国交を再開して、台湾を国家として承認していきたいものです。それが、台湾有事を防ぎ、日本の有事を防ぐことになります。
【筆者】